天気予報
その信号は、黄色が少し長く、全赤の時間がほとんどなかった。
人間は人間の営みに強い興味を持っているのではないか。
テレビのニュースも、新聞も、雑誌も、誰が何をしたという話題で溢れかえっている。
政治家が失言した、男が強盗に入った、女が結婚した、等々。
歴史について語る資格は僕にはないのだが、歴史が嫌いで仕方がなかった小学6年の頃、親に言われたことは今でも忘れない。
歴史は最後まで重宝する。他の勉強は、忘れてしまうけれど、歴史だけは、何歳になっても話の種になるし、趣味になるし、広く受け入れられる。
当時は理解できなかったが、今では納得がいく。
人間の営みの対称にあるのが、自然科学の大部分であろう。科学者が取り上げられることは多々あれど、科学が取り上げられることはほとんどない。「歴史モノ」はゴールデンタイムに来るしベストセラーにもなるが、「科学モノ」はそうはいかない。
人間離れしたテレビ番組が存在したらどうなるだろう。
典型的なのは天気予報である。主語すら存在しない「明日は晴れ」。
スカパーに天気チャンネルはあるが、あれでは徹底が足りない。
最高に人間離れした番組、あるいはチャンネル「現在の天気」を見てみたい。ひたすら現在の全国の空模様が映像に写し出され、解説が入る。時には、過去の空模様と比較することもあろう。天気図を出しても良い。しかし、人間の行為は取り上げない。
単調な番組では、天気に関係なく飽きられてしまう。バラエティ番組の形式を採るならば、有力な芸能人たちが会場に集結し、天気を見てコメントをしていく(その際に人間の行為に関する発言をしてはならない)。
「さあ、続いては東京都世田谷区の天気です!じゃん」
『おおーっ!!』
「1年前の同じ時刻がこちら!!」
『へぇ〜』
「天気図をご覧下さい!!」
『えーっ?!』
「ここで湿度クイズです!」
(拍手)
(ただし誰も答えてはいけない)
「正解は48%!!」
(会場大爆笑)
(会場大爆笑)