逆にこの時確かにそうなる。

逆に,このとき与式は確かに恒等式になる

サンタクロースがやってくるというスパム情報にいつ触れるのか

先日,栄の松坂屋で「○○サンタさんからもらったんだ」と発言している男児を目撃し,いたく感動した。

この時期になると,「サンタクロースがいないと知ったのは何歳のときか」「サンタクロースが親であることを知ったのはいつか」といった質問が投げかけられ,しばし盛り上がることがよくある。

しかしこの議論は,「サンタクロースなるものが特定の日にプレゼントを置きに来る」という「事実」(実際にはフェイクニュースでありスパム情報)を誰もが知っていることが大前提である(信じていなくても良い)。

いつからこの情報を信じなくなったか,あるいは当初より信じていなかったかを発表し議論を深めるべき話題であるが,この話を振られる度に頑張って記憶をたどるものの,最初から最後までサンタクロースなるものがプレゼントを持ってくるなどということを考えたこともないのであって,そもそもそのようなことを(親などに)言われたこともないと気づくのであった。つまり,我が家には当該スパム情報は到達していなかったのである。

では大多数の人はどこでその情報に触れるのだろうか。幼稚園で教わるのだろうか。それとも親から直接その旨言われるのだろうか。

我が家における手続きは次のようなものであった。まず12月になると,何が欲しいか聞かれる。予算内であれば購入すべき旨決定され通知される。なお僕の金銭感覚は幼少期に鍛えられており,予算がいくらであるか明示されたことはなかったが予算を超える要求をしたことは一度もなかった。次に,恐らくここが重要なのではないかと思うが,購入に付き添うのである。欲しいものは欲しい人間が一番よく知っているのであるから,随行しない理由はないのであるが,これによってサンタクロースなるものが入る余地がなくなったのかもしれない。ただ,多数説ではないものの,

 という学説もあるので,この段階で直ちにサンタクロースを排除できるものではない。そして最後に,交付日にプレゼントが手交される。ここがミソである。要求,購入,交付にいたるまですべて親子で行われており,ここに第三者たるサンタクロースが入り込む必要がないため,最も単純な理解は,「12月になると(予算の範囲内で)好きなものを買ってもらえる」である。

僕が常々抱いていた疑問は,「誕生日が12月の人は誕生日にもらうべきプレゼントと,クリスマスにもらうべきプレゼントの両方をもらえるのだろうか」という心配なのであった(サンタクロース贈与説に立つと,誕生日プレゼントは親から,クリスマスプレゼントはサンタクロースからもらえるのであるから,このような疑問は生じない)。

「夢がないねえ」というのが大方の感想であり,夢ではなく現実であることは明らかであるから僕も同意するのだが,「プレゼントを誰からもらうか」が異なるだけであって結果は同じなのであり,夢を語るべきイベントでもないなと思う。小学生くらいの年齢の人間には,もっと大きな夢を語ってもらいたいものである。

ところで,クリスマス絡みのスパム情報はもう1つあり,こちらは回避できずに何年も信じ込んでいた。人間の言語学習能力というのは大したもので,12月25日がクリスマスであり,その前日になると誰もが「今日はクリスマス・イブだ」などと述べるため,「・イブ」に「前日」という意味があるものだと学習していたのである。従って,23日の天皇誕生日を指して「・イブ・イブ」などと呼ぶ場面も少なからずあった(天皇陛下は日本神道の総元締めであり,クリスマスを祝うわけがないが,学習院初等科では級友とどのような会話を交わしていたのか気になるものの,この時期は冬休みであった(それ以前に,陛下は昭和8年生まれであり,当該期間は戦争真っ只中だったではないか))。

スパム情報というのは大変強い力をもっており,英語を学び「・イブ」がeveningであることを知った際には,「なるほど,eveningには『前日』という意味もあるのか」と思ったほどであった。