逆にこの時確かにそうなる。

逆に,このとき与式は確かに恒等式になる

答えのない問いには答えがある

「答えのない問い」「答えのない世界」「答えのない課題」「答えのない人生」などといった表現がある。この「答えのない」「答えがない」という表現は「問題」である。

 

問題には4種類ある。

まず,答えがあることが分かっており,ただちに答えを手に入れることができる問題である。例えば,4×5という算数の問題は,答えがあることが分かっており,それが20であることは電卓を叩くなどして直ちに手に入れることができる。

次に,答えがあることが分かっているが,当分の間,答えを手に入れることができない問題である。最適化問題がこれである。関数の最小値を求めることは人生においては頻出する問題である。例えば,部屋の家具の配置である。ベッドや本棚の配置について答えはあるが,どう配置したら良いのかすぐには分からない。あるいは勤めている会社を辞めて他の会社に移る場合である。日本にある法人は高々有限なので,答えは必ずあるのだが,求めるのに途方もない時間がかかる。

続いて,答えがないことが分かっている問題である。これは実は,1つ目の「答えがあることが分かっており,ただちに答えを手に入れることができる問題」と等価である。例えば,2乗して-1になる正の整数は何か,という問題の答えは,ない(「答えがない」が答えであると言い換えたところで同じである)。答えがない問題は楽勝である。電卓を叩く必要すらない。答えがないのだから,何もしなくて良い。

最後が,答えがあるのかないのか分かっていない問題である。これが一番厄介な問題である。例えば,「人生はどう生きるべきか?」という問題はこれである。人生の答えを探している人がいるかもしれないが,先にあるのかないのかをはっきりさせなければ筋が悪い。答えは自分で作るものだと主張する向きもあるが,答えかどうかの検証ができないので答えを作ることはできない。

大学院の研究は4番目の「答えがあるのかないのか分かっていない問題」に分類されるが,研究者が答えがあると信じているという点で同分類の他問題と大きく性質が異なっている。

さて,明日の朝食を何にするか。これはどの種類の問題だろうか。一見,2番目のようであるが,実は,「答えがあるのかないのか分かっていない問題」である。なぜなら,この時刻に床に就けば,朝食があるかどうか怪しいからである。ちなみに,目覚めて「朝食がある」方に確定すると2番目の種類の問題を解かねばならないが,「朝食がない」方に確定すると圧倒的に解くのが簡単な1番目の問題になるので,敢えて夜ふかししているのは,いわゆる「ライフハック」である。