逆にこの時確かにそうなる。

逆に,このとき与式は確かに恒等式になる

あらゆる価値の代替を目指す

有史以来、人々からの絶大な支持を背景に様々な場面で活躍をしてきた現金にお話を伺った。

プロフィール

各国政府にその信用を保証され、人々に価値を提供し続けてきた現金。金融システムが確立してからはますます活躍の幅を広げ、近年は電子化にも力を入れている。

インタビュー

――まずは今日までのご活躍を簡単にお伺いします。
 よく言われるのが、物々交換では面倒だから、価値の尺度を表す共通の物として現金が必要だったという話だ。1000年以上に渡って、様々な価値を表現し、伝えてきた。そういう自負はある。

――1000年経っても、その人気は衰えるばかりか、常に人々からの注目を浴びています。
 注目を浴びるのは仕方がない、人間が一切を託したのだから。だが人気かどうかは分からない。1万円札なんて、100年前はなかった。

――人間が一切を託したといいますと?
 一切というのは言い過ぎた。物でもサービスでも、精神的苦痛や刑罰にも現金が使われる。一体いま、どれだけの何を託されているのか、サッパリ分からない。

――逆に託されていないものはありますか?
 ある。「お金で買えない価値がある」なんてCMが流行った。そもそも「お金で買える」ということが良い文脈で使われることが少ないのが不思議でならない。

――全てお金で買えるようにすべきだと?
 交換可能にするという意味では当然だ。そうでなければ、我々の存在意義はない。これからも、あらゆる価値の代替を目指していく。

――あらゆる価値というのは?
 感情、権力、生命、運、すべてだ。「金がすべて」だ。

――実現に向けた動きはありますか?
 我々は価値の表現者だから、我々自身に価値はない。つまり人々からの信用が全てだ。感情や生命を任せてもらえるだけの信用を勝ち取っていく。

――どうやって?
 現金を身近に感じてもらうことが大切だ。小さな頃から道ばたで硬貨を拾ったり、やっかいごとを現金で解決したりするといったエクスペリエンスが現金への信頼を高める。そういった機会を提供していきたい。

――最後に今後の展望をお聞かせください。
 電子マネーの到来や株券電子化によって、ますます価値が抽象化している。われわれも証券業界、債権業界と手を組んで、より高度な現金へと生まれ変わっていく決意だ。

――ありがとうございました。