逆にこの時確かにそうなる。

逆に,このとき与式は確かに恒等式になる

大学病院

口を一定以上開くことができなくなった。痛くてたまらないのである。

歯科にかかるべきか、外科にかかるべきか、分からず調べると、難なく顎関節症であることが分かった。
東京医科歯科大学附属病院に顎関節専門の治療部があると知り、大学の授業を休んで行ってきたのである。
外来受付が午前中しかないので致し方ない。

幸いにもたいした病気をしたことがない僕にとって大学病院などというものは恐怖の象徴であるが、僕が行ったのは歯学部附属病院である。昔から歯医者は大好きである。

「来院される患者さんの数は、歯科病院では全国一であり、一日約1,800人の外来患者さんと年間延べ19,000人の入院患者さんに利用していただいて」いるそうなので*1、事務作業が徹底的に効率化されてい(るように見え)て面白かった。

一番感銘を受けたのが、精算である。診察が終わると、窓口に書類を提出する。しばらくすると、受付の液晶テレビに、当初発行された番号が表示され、ATMのような機械で料金を支払う。クレジットカード各種(AMEXまで使える!)、J-Debitでも支払える。
若い人からお年寄りまで次から次へと診察を終え、列に並び、機械にお金を投入して帰っていく。その様子がなんとも滑稽で、そして自分もまた滑稽な列に仲間入りできて、愉快であった。
歯科とは言え命を委ねる病院だが、効率化された支払システムは、いかにも金で命を買っているような、いかにも物質的な感じがしたのである。
くどいがもう一度書くと、病院に来て、受付を済ませ、診察を終え、機械にお金を入れる。これが延々と繰り返されているのである。患者が接する人間は、まさしく医師のみなのである(ただし、診察後に受付の人と接する)。再診はこれまた機械に診察券を通し、勝手に診察室へ向かうだけなのである。小説の中にでも来てしまった気分になった。

どんな業種にも言えることだが、本業に専念すべきである。
病医院が患者の命を救うことを本業とするのであれば、些末な事務作業は極限まで効率化し、あらゆるリソースを治療に傾けねばならない。そういう意味で僕は――恐らく多くの患者たちも――肯定的な印象を持ったのである。

医学部附属病院での様子を今度は見てみたいものである。

さて、がっかりしたのは御茶ノ水駅周辺に点在する処方箋薬局である。
大学病院の周辺であるから、ひっきりなしに患者が入ってくるため、こちらも番号で呼出を喰らうのだが、痛み止め1つ出してもらうのに30分かかった。

薬剤師は一人しかいないのだろうかと本気で考えていたところである。


ありがたくも2回の通院で治療が終了してしまったのでもう行く機会はないのだが、あまりにも愉快な体験だったので、大学病院に通い詰めようと思っている(思っていない)。