Strangers' Non-verbal Communication
これは,東京の都心で繰り広げられている,見知らぬ者同士のノンヴァーバル・コミュニケーションを書き起こしたものである。
「む!」
『む!』
「このままのペースだとちょうどあの人とぶつかる」
『このままのペースだとちょうどあの人とぶつかる』
「これ以上速く歩けないので減速するしかないな」
『これ以上速く歩けないので減速するしかないな』
「減速」
『減速』
「なんと!」
『なんと!』
「こいつ認識しているな...」
『向こうも減速したか...』
「そっちは...」
『こちらは右に曲がりたい』
「なるほどではこちらも右に避ける」
『よし左に行くようだな』
「よし左に行くようだな」
この間僅か0.5秒,歩数にして1歩である。
うまく行かないパターンは2通りである。
まずは,コミュニケーションは取れているが片方の頭が悪い場合。
「む!」
『む!』
「このままのペースだとちょうどあの人とぶつかる」
『このままのペースだとちょうどあの人とぶつかる』
「こっちは左に曲がることができない」
『左に曲がります』
「それだとぶつかる」
『左に曲がります』
「だからこっちは右にしか行けない」
『ぶつかる』
「ぶつかった」
もう1つは,片方にノンヴァーバル・コミュニケーションの能力がない場合である。