逆にこの時確かにそうなる。

逆に,このとき与式は確かに恒等式になる

アクアパッツァ

 昨日*1,魚を焼いていたら,火災報知器が鳴った。「ピューイ,火事です火事です,ピューイ,火事です火事です,ピューイ,火事ですか痔です」

 東京に来てまもないころ(2012年6月),突然火災報知器が鳴ったことがあって,その時に調べたので仕組みは分かっていた。空気の透過率が下がると火事であると判断するのである。魚を焼くとその脂によって煙がもくもく出るが,これがいけなかった。

 それにしても,「火事です火事です」とはずいぶん思い切った断定である。仕組み上,空気が透明でなくなってきたことが分かるだけである。従って,「ピューイ,空気の透明度が下がりました空気の透明度が下がりました」と言うのが正しい。

 しかしそれではあまりにも分かりにくく,火事の場合に逃げ遅れる可能性がある。問題点は,火事⇒煙⇒空気の透過率が低下という論理が成り立っていても,空気の透過率が低下⇒火事という論理が成り立っていないところにある。そこで,「ピューイ,火事の場合と同じ状態です火事の場合と同じ状態です」と言うと正確だ。

 ところで,空気が透明でない場合に,魚を焼いたことと火事であることとでどちらが原因の場合が大きいだろうか。

 僕は10回に1回くらい魚を焼いているので,魚を焼く確率は0.1である。また,火事になる確率は,全国統計から5000分の1であることが分かっている。また,魚も焼いていなければ火事でもないときに空気が濁る確率は0である。火事の時は大抵の場合空気がよどむので,0.9の確率で透過率が下がる。魚を焼いても煙が出ないことは多いので,透過率が下がる確率は0.1である。魚を焼いた上に火事になった場合に空気が透過しなくなる確率は0.91である。

P(魚を焼いてい=る) P(魚を焼いてい=ない)
0.1 0.9

 

P(火事=だ) P(火事=ではない)
0.0002 0.9998

 

魚を焼いてい 火事 P(空気が透過=する) P(空気が透過=しない)
ない ではない 0 1
ない 0.9 0.1
ではない 0.1 0.9
0.91 0.09

 

 ここから,4通りの確率を計算する。

P(魚を焼いてい=る, 火事=だ, 空気が透過=しない)=0.0000182

P(魚を焼いてい=る, 火事=ではない, 空気が透過=しない)=0.009998

P(魚を焼いてい=ない, 火事=だ, 空気が透過=しない)=0.000162

P(魚を焼いてい=ない, 火事=ではない, 空気が透過=しない)=0

 以上より,空気が透過しなかったとき=火災報知器が鳴ったとき,魚を焼いているが火事ではない可能性が最も高いことが分かる。

 では確率が低いから,火災報知器を魚焼き検知器に変えるべきなのか。リスクの見積もりは,その発生頻度だけでなく,影響度も評価して行わなければならない。火事は大損害をもたらすので,確率が低くても気をつけなければならないのである。

 魚は美味しいのでどんどん焼いた方が良い。

*1:昨日ではない。