鉛筆を削った
鉛筆を削った。1ダース。
僕は消せる筆記具としてずっと鉛筆を使ってきた。小学1年生の時から、今日までずっと鉛筆で書いてきた。ボールペンはよく使うが、シャープペンシルは年に数回、それも筆箱を忘れた時にしか使わない。
鉛筆のメリットは分からない。デメリットも分からない。他の筆記具を使うきっかけがなかったので、ずっと鉛筆を使ってきた。
中学1年生までは三菱9800で、途中から三菱uniに乗り換えて以来、ずっとuniだけを使っている。他の鉛筆は使わない。使えない。
学年が上がる毎に、周りでは鉛筆を使う人が珍しくなっていった。
珍しさ故か使っている理由を尋ねられることもあったが、ずっと使っているからという理由だけである。
削るのが面倒ではと言われたこともあったが、面倒に感じたこともない。そもそも、電動鉛筆削りを知らない人もいるようでこちらが驚いた。
鉛筆にはおなじみの銀色のキャップをつける。このキャップは100円ショップでも文具店でもどこでも売っているし、いろいろな無名のメーカが作っているが、形状、材質ともに随分違うのである。僕が一番好きなのは、ステンレスのキャップである。他には、アルミ、真鍮、鉄がある。鉄だと磁石にくっつく。また、大きさも長めのものと短めのものがあるが、長いと筆箱に入らない。
さて、鉛筆を使い続けていると、課題に直面することがある。小学何年生の時だったか。
家に帰って日課の鉛筆削りをするのだが、5本持っていっても2本しか使わない日が生じる。そうすると、削らなくて良い鉛筆が生じる。しかし、先が丸くなっているかどうかは、キャップを取るまで分からない。
先述のキャップには、太さ調整用の切り込みが入っている。鉛筆は六角形であるから、この切り込みを利用することで、6種類の情報を表せるのである。
ひどいときには何時間目に使ったかまで記録していたが(小学校の授業は高々6限なので足りる)、さすがに無意味だったので、今では(今でも!)使った鉛筆と使っていない鉛筆がキャップの位置によって記録されている。
次は中学生のときか。
日課の鉛筆削りの際には、5本ある鉛筆のキャップを見なければならなかったが、この中には削らなくて良い鉛筆もあるのであり、筆箱から取り出してキャップを見るのが手間であることに気づいた。
そこで、筆箱には、左向きに鉛筆を収納しておき、使った鉛筆は右向きに入れるようにした。銀色のキャップと小豆色の三菱uniの対比は明確であるから、削る必要のない鉛筆を筆箱から取り出すこともなくなった。この慣習は現在まで引き継がれている。
筆記用具を忘れた人には、鉛筆を貸すことがある。返される際に、僕はこっそりキャップの位置を直すのである。