逆にこの時確かにそうなる。

逆に,このとき与式は確かに恒等式になる

応用情報技術者試験を受けた

 中学生か高校生のときに,国家資格を取っておくのも面白いと思って,なかでも特に簡単であると言われる第三級海上特殊無線技士に興味があった(なんと全問が2択問題)のだが,受けずに終わった。パソコンが好きだったので,基本情報技術者を取ろうとも思って,「栢木先生の基本情報技術者教室」という本を買ったが,読まずに今日に至った(今知ったが,ずっと柏木先生だと思っていた)。そして,ついに思い立って申し込んだのが2015年の春期試験だった。この時はもう情報系学科にいたので,FEではなくAPを取るべきだと考えたのだろう。注文履歴によれば,4月15日にAmazonで参考書を買ったらしい。そして,当日は……

応用情報起床試験などと言われるが,まさにそれに落ちてしまった。というか,試験4日前に参考書と問題集まで買っているがどういうつもりだったのか。

 以上のような背景があり,情報処理技術者試験とは縁がなかったのだが,コロナで海外渡航の計画がだめになり,腹いせに何か資格を取ろうと思って色々とリストを眺めていたところ,ちょうど良い時期に応用情報技術者試験が開催されるということだったので,申し込んだ。今度はきちんと勉強して受けようと思ったので,8月5日に参考書を購入したのだが,なんと5年前と同じ本だった(さっき知った)。

 応用情報技術者試験は午前と午後に分かれており,午前はテクノロジ,マネジメント,ストラテジの3つの分野から,それぞれ50問,10問,20問が出題される。この分け方は好きではない。これは人それぞれ背景が違うので好きなように分析すれば良いと思うが,僕はコンピュータサイエンス,エンジニアリング,経営と分けた。そして,コンピュータサイエンスの部分は大学院入試を簡単にしたような内容なのでほとんど何もしなくてよく,残りの2つを勉強すれば良いと判断した。

 ところが,参考書は前から読んでいくと,コンピュータサイエンスから始まるのである。これが面白くて,中学校の社会科みたいに,単語を覚えていくだけなのである。例えば,バブルソートは覚えるが,バブルソートが何であるかは覚えなくて良い,という感じである。

 データ構造とアルゴリズムのところまで読んで,時間がなくなった。アホである。エンジニアリングや経営のところを先に読むべきであった。そこで3日前から,問題を解いて,分からなかった分野だけ参考書で確認することにした。その結果,「データベース」だけ弱いが,他は6割前後の正解率だった。よって,分からなかった分野ではなく,分からなかった単語だけ確認することにした。その結果,「バリューチェーン分析」という単語を覚えたが,それが何であるかは分からない,といったことがエンジニアリングや経営のところで生じた。

 これで前日の夕方までかかったので,残りは,参考書におまけで付属していた一問一答Webアプリをやった。100問くらい解いて,正解率が8割ちょっとだった。午後試験の方は,参考書の章末問題だけをやったが,これは対策しようがなく,日本語をきちんと読んで,分かるものは分かる,分からないものは分からないとすることにした。

 当日の午前試験。問題冊子を開けてびっくりした。過去問(参考書付属のWebアプリは過去問の一問一答である)と同じ問題が大量に出題されているのである。センター試験でもここまで露骨ではない。問題文を読まずに√2ghを選ぶような感じであった。午前試験の対策としては,過去問だけをやるのが正しいと断言できる。復習用に参考書はあった方が良いが,過去問が先である。

 午後試験。問題冊子を開けてびっくりした。全然分からないのである。「コンピュータは____である。空所に入る語句を入れよ」みたいな問題だ。何が入るんだ?「便利」か?「機械」か?「英語」か?といった感じ。参考書の章末問題ではもっと解けたので,かなり残念だった。

 応用情報技術者試験の合格率は,2割程度で推移している。資格試験としては,低い部類に当たる。なぜこんなに低いのか。真っ先に思ったのは起床に失敗するからという理由だが,なんとIPAは受験者数を分母にしているのである。なお受験率は6割台で推移しているから,やはり3割は起床に失敗している。午前と午後で問題の質が随分違うと感じたので,分けて考える。午前は,過去問と同じ問題が出まくっているので,これで落ちるのは単なる取り組み不足である。受験者のうち社会人が半分くらいなので,仕事が忙しいのだろう。これは皮肉で,社会人受験者の大半は応用情報技術者試験の範囲と全く被らない仕事をしているということである。すなわち,コンピュータ・サイエンスを用いず,要件定義などもせず,経営戦略にも携わらないということである。それから,ネットワークやコンピュータ・アーキテクチャを学んだことがあるかどうか,つまり情報系学科を出ているかどうかも勉強の必要量に大きく関わってこよう。午後試験は,文章が長い。よく知られているように,日本人の大半は長い文章が読めない。これが原因だと思われる。

 合格率は低いが,試験の難易度は総じて低いと感じられた。英検準1級くらいの感じ。一般に,合格率の低い試験は,やたら受験者が多いのが原因である。医師国家試験の合格率は9割程度である。医学部を出ていないと受けられないからこうなる。法律系の試験でも,司法試験の合格率は2割台である。行政書士試験の合格率は1割である。だが,どう考えても司法試験の方が難しい。東京大学の学部入試倍率も,足切り前で3倍程度である。私立大学では10倍を超えることも珍しくない。試験にも「受けやすさ」があるということだ。僕も受けやすさ故に寝過ごしたり,遅刻してみたりしたものである。大学入試のときは前日に下見までしたのだから,その差ははっきりしている。